ゴンチチのFM番組「世界の快適音楽セレクション」

ゴンチチのラジオ番組 「世界の快適音楽セレクション」

 

 この番組、最初に聞いたのは今25歳の息子がまだ小学校に上がる前でしたから、もう20年も前のことでしょうか。車で九州なんかに旅行に行くときに聞いていました。高速道路はトンネルが多いので、いいところで雑音が入ったりして随分イライラしながら聴いた覚えがあります。

 今はタブレットのRadeiko?だったかのアプリで録音して、それを車で聞いています。雑音もなくクリアな音で録音できるのでいい時代になったものだなと思います。

 

 さてここではこのゴンチチの番組と文学とのかかわりについて書こうと思います。

この番組、聴いた方はご存知だと思いますが、知らない曲、聴いたこともない曲、怪しい曲、何??これ??って曲がたっくさんかかいます。毎回テーマが決まっており、そのテーマに沿うと思われる曲をチチ松村さんとゴンザレス三上さん、そして選者の方が選んでこられますが、その曲が変わっているのです。

 三上さんはジャズ系、松村さんはフォーク系が多いという傾向はあるにせよ、予想もしなかった曲が当然のようにかかります。しかも、聴いたことがないのに良いのです。すごい良い。とはいえ、他のラジオ局でかかる曲のいいね~これ♪という「良い曲」ではありません。全く次元の違う「良いね」なんです。

 まず、聴き終ってから思い出すことができません。メロディーなんてものはありません。だから、もう一回口づさんでみな、と言われても、無理です。でも良いんです。そんな曲が多いんですよね。

 しかも聴いている間中、その曲とは全く無関係のいろんなことを考えてしまいます。思いもしなかったいろんなイメージが頭の中を駆け巡ると言ってもいいかもしれません。

 リズムも音程も展開も、予想外です。イントロがあって、AメロBメロサビ、間奏Aメロサビ、エンディング。イントロ、一番二番、間奏、三番エンディング。歌謡曲や演歌やJポップみたいな決まりきったフォーマットは一切ありません。

 そういう音楽が目白押しなのです。(むろんたまには演歌や歌謡曲もかかりますが^^;)

 これはそっくりそのまま純文学だなあと私は思うのです。

 ストーリーが思い出せない。でも読んでいる間が楽しい。文章を読むことでいろんな刺激があって、さまざまなイメージが駆け巡る。良質の純文学の要素満載。だからそう思うのです。これって純文学の音楽じゃないのか?って。

 

 若い頃から難解な音楽は苦手でした。現代音楽とか。クラシックでさえ苦手だった時期もあります。だから聴きやすい音楽ばかりを選んで聴いてきました。それは文学もそうだったように思います。

 この番組を聴き始めて二十年、私も随分変わったなあと思います。とりわけ自分で小説を書き始めてから変わりました。昔、いいなあと思っていた作家の作品が妙に陳腐に思えてきたり、この作品のどこが優秀なんだよ??と小馬鹿にしていた作品を読み返してみて、そのすごさに驚いてしまったりします。

 

 音楽は自由です。音楽を縛り付ける決まりなんてありません。ありとあらゆる可能性があるのです。そしてそれと同じように文学も自由です。文学をしばる決まりはありません。小説とはこういうものだ。小説とはこう書くべきだ。なんてことは一切ないのです。

 

 ゴンチチさんの番組を聴いていると、イメージが豊かになります。ゴンチチの番組を聴きながら、ああこういう小説を書いてみたいなあ、と夢想しているときが一番の幸せです。