韓ドラと新東宝
韓国ドラマをよく見ている 韓国ドラマは面白い
最初は名作「愛の不時着」だった
あれでハマった
そして「梨泰院クラス」で抜けられなくなった
その後も「マイディア ミスター」とか「ミスターサンシャイン」とか
「SKYキャッスル」「知ってるワイフ」等々
ありとあらゆるドラマを見続けてきている
そこで感じたことだが
韓国ドラマって同じ役者さんが
必ず一人はダブって出てくる
前のドラマでは、ヤーヤー言ってた下町のおばちゃんが
次のドラマではいきなり裁判官かなんかになってて、
妙に重々しい物言いをしていて吹き出したりする
前のドラマでは殺人鬼さながらに身近な人を殺しまくっていたおじさんが
次のドラマでは笑顔も柔和な好々爺で孫娘なんかと笑っていて、
おいおいこの人は怖い人なんだぞ
なんて画面に向かって言ってみたくなる
韓国のドラマ制作現場とか、芸能界の事情はさっぱりわからないのだが
例えば日本でも、世界の黒澤明の映画なんかは黒澤組とか言って、
スタッフも役者もほぼ一緒で一つのファミリーのようになっていて、
そのメンツで映画撮ってた
三船敏郎にしても、
「七人の侍」では侍になりたい荒くれ者、
「酔いどれ天使」では闇市を仕切るヤクザ
「用心棒」では腕の立つ浪人といろんな役で登場した
それと同じように韓国でもネットフリックス組みたいなのがあって
同じスタッフ、同じ役者でドラマ撮ってるのだろうか?
それとも
そもそも演劇方面の人材が少ないのだろうか?
ただ、美人女優さんや、イケメン男優なんかは次々新人が登場するから
使い回し的な配役は脇役のベテラン俳優だけの状況なのかもしれない
てなことを考えていたら ある事を思い出した
今から40年以上前、学生時代の話だ
1980年代 京都で大学生だった私はよくエロ映画を見に行った
3本だて300円という、当時でも破格の低料金だった
その映画館は確か丸太町通沿い、西大路を少し東に行ったあたり
似合ったような気がするが、はっきりとは覚えていない
ピンク映画で言えば新京極や千本の日活なんてのもあったが、
あっちはれっきとした封切館で
畑中ようこの「後ろから前からどうぞ」
なんていう話題作だと、一本で千円近くもした
しかし丸太町のそれは 絵に描いたような場末のB級館
きている客もほとんどが貧乏学生
なにしろ携帯は言うまでもなく、パソコンもビデオも、インターネットも
なーんもない時代
京都発祥のノーパン喫茶が話題になり、
ビニールで封印された無修正エロ本がビニ本なんて名前で売られていたが
どちらも貧乏学生には高嶺の花
そんな時代 3本300円のエロ映画は「若き飢えてるの悩み」を抱く
ボンクラ大学生にはまさに娯楽の殿堂であった
オールナイトの土曜日、夕飯を食べた私はワクワクドキドキしながら
一人自転車を漕いで映画館を目指した
ところが この3本300円のエロ映画がまさに韓ドラなのである
低級な黒澤組と言っても良いかもしれない
新東宝という聞き慣れない映画会社の作品だったと思うのだが
役者がダブっているなんてレベルじゃない
役者は五人くらいしか出てこない
その五人が役どころを変えながら登場するのだ
1本目では女狂いの破滅型作家を演じていた男優が
2本目では診察と称して卑猥な行為に及ぶエロ医師
で出てきたりする
女優も同様で、
1本目では彼氏の言いなりでどんな要求も拒否できない
ドMだったはずの三十絡みの女優さんが、
2本目ではスケバン風の女子高生を演じていて
思わず館内に失笑が漏れたりしていた
まあ、どの作品も男女の絡みがメインで、そこさえ見応えがあれば、
役どころなんてどうでも良かったのだが
それにしても、不自由な時代だった
古き良き時代なんていう人がいるけど、それは嘘だ
現代の方が良いに決まってる
ネットで気軽にいろんなコンテンツを見れる方がずっと良い
ネットフリックスを見れば、韓国だけじゃなく
タイや台湾、中国、そしてアメリカ、ヨーロッパ
世界中いろんな国のドラマを見ることができる
そして、国や地域、文化や伝統は変われど、
そこで暮らす人々の人生は普遍的
どの国の人も同じ人間なんだと実感できる
とりわけ かつては「一番近くて一番遠い国」
なんて言われていた韓国をこんなに身近に感じられるのは
ネットフリックスのお陰だ